「思いやり」って、実はとても難しい。
なぜなら、
多くの場合――
それは“自分基準”でできているから。
僕が闘病していた頃、
本当にたくさんの人がお見舞いに来てくれました。
それ自体は、ありがたいことです。
心から、感謝しています。

でも、ある言葉に、だんだん腹が立ってきました。
「元気になったら、美味しいもの食べに行こう!」
最初は、「うん、そうだね」と言っていました。
でも、心の中では違いました。
当時の僕は、
たとえ元気になっても
普通の食事ができない身体でした。
クローン病。
8度も手術をして、
4年間、絶食を経験しました。
「元気になったら食べよう」は、
僕にとっては、叶わない未来の話だったのです。
もっと言えば。
お見舞いにお菓子を持ってくる人も、何人もいました。
悪気がないのは、わかっています。
でもね。
病気のこと、少しでも調べた?
一言でも「何か必要なものある?」って聞いた?
思いやりって、
“気持ち”だけでは足りない。
想像力がなければ、ただの自己満足になります。
正直に言うと、
あの頃の僕は、かなりムカついていました。
結局、相手は
「何かしてあげたい自分」を満たしたいだけ。
こちらの現実は、見えていない。
それは優しさじゃない。
ただの、ひとりよがり。
これは、病気の話だけではありません。
職場でも、家庭でも、恋愛でも。
「あなたのためを思って」
という言葉の裏に、
相手をちゃんと見ていない態度が
潜んでいることが、本当に多い。
お土産も、
プレゼントも、
アドバイスも。
“自分があげたいもの”を渡していないか?
“自分が言いたいこと”を言っていないか?
それ、
相手は本当に欲しがってる?
本当の優しさとは、想像力です。
そこまで考えて、
やっとスタートライン。
そこを飛ばして、
「モテない」
「人間関係がうまくいかない」
「職場が居心地悪い」
と言っているなら――
まずは、自分の“ひとりよがり”を疑ったほうがいい。
耳が痛いですよね。
でも、僕も痛かった。
あの闘病の時間は、
人の優しさの本質を、徹底的に見せてくれました。
本当に思いやりのある人は、
人間関係で大きく困ることはありません。
なぜなら、
相手の立場に立つ努力をしているから。
逆に、
いつも人間関係でトラブルが続くなら、
もしかしたら、
あなたもどこかで
“自分基準の優しさ”を押し付けているかもしれない。
優しさは、センスではありません。
訓練です。
調べること。
確認すること。
聞くこと。
そして、時には何もしないこと。
それが、本物の思いやり。
僕は、あの闘病時代を経て、
“気持ち”よりも“理解”を選ぶようになりました。
だから今、カウンセリングでは必ず聞きます。
「あなたは、どうされたい?」
ここを飛ばさない。
それが、僕のやり方です。
優しいつもりになっていないか。
その一歩の見直しが、
人間関係を、静かに変えていきます。
まずは、
一番近い人から。
そして、
自分自身にも。
あなたは、
本当に今、どうされたいですか?