こんにちは。
カウンセラーの神社昌弘です。
僕は20代の頃、英会話教室でアルバイトをしていたことがあるのですが、なぜか保護者から“進路相談”をされることがよくありました。
ある日のこと。
高校生の娘さんを持つ母親から、
「娘が転校したいと言い出したのです。どうしたらいいですか?」
と相談を受けて、
「なぜ、彼女は転校したいって言っているのですか?」
と聞き返すと、
「英語のレベルが高すぎてついていけないから…」
というものでした。
本来、塾の講師であれば、
「ウチでフォローしますから大丈夫です!任せてください」
と言うべきなのでしょうが、僕は、すでに彼女がめいっぱい頑張って、もうこれ以上「無理」だということを知っていたので、
「娘さんの希望通りにはできませんか?」
と伝えたら、ひどく怒られました。
「ここまで頑張ってきたのに…せっかく良い高校なのに…」
「なんでそんなことを言うのですか?!」
「あなたは講師失格よ!」
怒りまくっていた母親に対して、僕は、
「彼女がいま一番望んでいることが、彼女にとって一番良いことだと思います」
と答えたら、余計に怒らせてしまって、全く聞く耳をもってもらえませんでした。
そこで
「もし彼女が、転校したらどうなるのですか?」
と尋ねると
・良い大学に入れない
・良い会社に就職できない
・良い人に出会えない
・良い結婚ができない
・幸せになれない
そんな答えが返ってきました。
親が子どもを思う気持ちはわかりますが、そもそも「良い」って何なのでしょう?
「幸せ」って何なのでしょう?
あなたの「幸せ」が子どもの「幸せ」なのでしょうか?
なぜ、子どもが望んでいる幸せの観点から考えられないのでしょうか?
一生懸命に娘さんのことを思われている気持ちもわかりますし「あとちょっと頑張ってもらいたい!」「ここを乗り越えてもらいたい!」そんな気持ちもあると思います。
でも、本当に彼女の「幸せ」を考えるなら、いまここやるべきことは、自分の想いを押し付けることではないですよね。
こんなことを書くと「甘い」「わがままになる」と言われるかもしれません。
でも…
もし、あなたが両親に「甘えるな!」「もっと頑張れ!」「耐えろ!」と言われ続けて、辛抱しながら頑張り続けたら、大人になった時、親に心から「ありがとう」と言えますか?
おそらく、忍耐力と我慢強さは身につくので、多少の感謝はできると思いますが…
自分の「本音」を聞き入れてもらえなかった傷は深く残るはずです。
…あのとき私の本音を聴いてほしかった…
そんな想いは一生消えることはありません。
僕は、彼女のような真面目な生徒たちが、親の期待に応えるために、必死に自分を押し殺し、心を病んできた事例をいっぱい知っているので、もし可能なら、まず、幸せの形はさまざまだと知っていただいうえで、子どもが望んでいる「幸せ」を聴いて、子どもの視点から「幸せ」を考える余裕をもっていただけたら嬉しいなと思います。