僕は、かつてイギリスで日本語教師をしていたことがあるのですが。
当時のメモを読み返して、改めて心に留めておきたいことがあったので、今日はそれをシェアしたいと思います。
『イギリス人生徒たちはボールペンを使用する』
彼らは鉛筆やシャープペンシルではなく、青色のボールペンを使うことが多かったです。
まだ中学生なのに、「なぜボールペンなのか?」
それは、「消し去らないことが大切だから」「間違いをそのまま認めることが次につながるから」だと恩師から聞きました。
生きていれば、消し去りたいもののひとつやふたつはありますよね。
そこで、消しゴムを使って消し去ることができたら、どんなにスッキリするでしょう。
でも、起こった出来事をなかったことにできませんよね。どんなにキレイに消しても、心の中に残っているものはあります。
人は皆、失敗や間違いを犯しながら成長してきますが、あの頃のイギリス人生徒たちを見ていると、
・正解だけを書かなくてもいい
・間違えても大丈夫
・書き間違いは消し去らないことが大事
・過程や失敗は消してはいけない
・ぜんぶが大事
そんなことを教わります。
これは人生と一緒ですよね?
自分が、いま感じているもの、いまここで思っていること、これまで体験して考えてきたこと、どれもすべてが大事で、消し去る必要なんて一切ない!のですね。
過去も過程も、ぜんぶ大切な「宝物」なのです!
だから、もし消し去りたい過去があっても、それを在りたい未来へのエネルギーに変えて、全部を「丸」にして、全肯定して、笑顔でいけたらいいですね。生きていれば、悩みや不安、心配事や問題も色々ありますよね。
何も考えずに、
力をゆるめて、
もっと気楽に、
そんな風に生きることができたら、どんなに楽でしょう。
「もうこれ以上、考えなくていいですよ」
「ほんの少し、力を抜いていきましょう」
「そんなに、悩まなくていいですよ」
そんな風に言えたらいいのですが…
そんなことをいうのは無責任で、身勝手なことかもしれません。
なぜなら、
真剣に人生を考えたい人に「これ以上考えなくていい」と言うのは失礼な話で…
めいっぱい頑張って生きたい人に「力をゆるめて下さい」なんて言葉は、その人を苦しめるだけで…
いろいろ悩みたい人に「そんなに悩まなくていいですよ」という言葉は、上から目線の何ものでもないから。
自分や親、これまで育ってきた環境の中で培われた信念や固定観念から離れることは難しいことで、多くの人は、色々わかっているけれど、人は誰しも、
一人ではどうしようもないから悩み…
それでも自分を信じたいから頑張り…
自分も相手も大切にしたいから足りない分を探して必死になるのだと思います。
すべてが一人でなんとかできたら、こんなに苦労はしませんよね。
執着や思い込み、とらわれから離れられたら、もっと楽になることも、わかっていますよね。
でも…
なかなかできませんよね。
だから僕は、
「あなたは、いま、どう感じているの?」
「いま、どの想いを大切にしたいの?」
「本当のところは、どうしたいの?」
そう尋ねて、寄り添うことを大切にしています。
そして、本来の自分に還ることによって、自分で自分を救い、自分にしか歩めない人生を好転させてほしいと願っています。
他人は、いろいろ好き勝手なことを言います。
同時に、自分の想いや感情も、いろいろ沸き起こってきます。
そんな時、それらに振り回されずに、どんな自分にもOKを出して、常に自分の味方になって、自分が自分を癒せるようになるといいですね。
誰かを助けたい時…
笑顔にしてあげたい時…
また苦しみを取り去ってあげたい時…
そんな時ほど、注意が必要です。
なぜなら、誰かに「何かしてあげたくなった」時は、相手の問題を自分の問題にすり替えて、代わりに答えを探すことに必死になろうとしている時が多いからです。
また、新たな知識を学んで成功した直後は、それが正しいと思い込んで、傲慢になることが多く、こちらも注意が必要です。
他人に優しい人ほど、無意識に、よかれと思って、いろいろ考え、いろいろ想像し、何かしてあげたくなりますが、これらは全て自分目線からおせっかいに出ているものであることに気づかなければいけません。
本当に人を助けるというのは、相手に寄り添い、まずは、相手の話を最後まで聴くこと。
そして、相手が自力で乗り越えられると信じて、相手が本当に必要とすることを、傍でサポートさせていただくことです。
決して、上から目線ではなく、また同情するのでもなく、相手と対等の立場で、相手を尊重し「信じて見守る」それが大切です。
マインドリカバリーカウンセリングでは、自分で自分を救うことを基本に、それぞれが本来の自分を取り戻し、自分も相手も人生を好転させてゆくカウンセリングです。