この時期(夏になると)、汗をかきながら、大量の薬をもらうためにキャリーバックを転がしていたことを思い出します。
21年前の8月、クローン病(消化器官の難病)が見つかって、頻繁に通院していた時のこと。
母と姉が、いつも
「元気の出るお洋服を着なさい」
「身だしなみを整えてカッコよく行きなさい」
と言いました。
もちろん、付き添ってくれる母や姉も、いつも以上に奇麗な色のお洋服を着て、お化粧もバッチリ、とびっきりのお洒落をしていました。
そんな僕たちを、まわりは、仲の良い家族が、毎週のように海外に出かけているように見えたようです。
(キャリーバックの中身は、大量の薬なのに…)
正直、まわりから勘違いされるのが悔しくて、もっとみすぼらしい格好で、気弱に病院に行きたかったのですが、母と姉は許しませんでした。
こんな時だからこそ、「素敵なお洋服を着るのよ」といって、病院帰りには、よくショッピングに連れていかれました。
「なんで、病院ごときで、こんなお洒落をしなきゃいけないんだ」
と思っていましたが、この時、病気になっても、病人になってはいけない!ことを教わりました。
「外見だけでも元気に見えるなら、それでいいじゃない!よかったわね」
「他人は気にしない!あなたには中身を見れる人になってほしいわ」
そんな前向きな母の言葉が、いつも僕を支えてくれたように思い出します。
残念ながら、人は見た目で判断されてしまいます!
でも、見た目さえキッチリしていれば、たとえ難病でも元気にみられるんです。まわりからは幸せそうに見えるんです。
肉体だけでなく精神まで落ち込んでしまうと、病人になってしまいます。誰かにわかってもらいたい気持ちばかりが強まって、無意識に同情を求めて、病気から病人へと変化します。
結局のところ、自分の本当のつらさや苦しみ、その痛みや絶望感は、決して他人には理解できないものです。
だからこそ、どんな時も、まずは自分が自分のことをわかることに努めて、自分で自分を救う意識を持って、自分が自分を元気にしないと、結局つらくなるだけなんだと思い知りました。
僕は、この経験から、人を見た目だけで判断せずに、人の内面をわかろうと決めました。
だからいま、こうして心を診るカウンセラーになっています。