僕がクローン病と診断されて、15年くらい経ったある日のこと。
大腸内視鏡検査をして、担当医師から、
「おめでとう!もう、大丈夫だよ」
と言われた。
本来であれば、幸せいっぱいになって、最高の気分になるはずが、なぜか、
「これから先、どうしていいのか?」
わからなくなってしまった。
これには、自分でも驚いた。
これまで、あんなに必死になって『完治』を目指してきたのに、それが叶った瞬間、幸せよりも、不安が出てきたことに対して、大きなショックを受けた。
いつしか、僕は、クローン病に依存するようになっていて、完治させることが人生最大の目標になっていたことに気がついた。
病気は、あくまで人生の通過点であって、それを克服することだけがゴールになってはいけなかったのに、真面目すぎた僕は、問題解決ばかりに夢中になって、人生の楽しみや喜びを忘れて、いつしか、修行僧のようになってしまっていた。
夢や目標は大事だが、その先を考えることは、もっともっと大事だということを思い知った。
病気を治すことより大切なのは、日々の心身が穏やかに過ごせること。
そして、完治よりも大切なことは、長く続く人生を、元気に、豊かに、楽しく過ごせること。
僕たちは、問題解決をするために生まれてきたのではなく、『幸せ』になるために生まれてきたことを、今一度、覚えておきたい。
神社昌弘(かんじゃまさひろ:本名)
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