僕は、クローン病と確定される迄に、「痔(ぢ)ろう」の手術を8回している。
クローン病の初期症状の一つに「痔ろう」があるが、25年以上も前には、まさか、「痔と腸」が関係しているなんて、肛門専門の医師たちはわからなかったようだ。
だから、僕は肛門科で、何度も手術を受けた。
当時、「痔」の手術は、外科手術の中でも、一番「痛い」と言いわれていて、あまりの痛さに、僕は何度も気を失った。
そして、気づいたら、ベットの上。
術後のガーゼ交換や消毒も激痛で、毎回、三人の看護師にはがいじめにされながら治療を受けた。
あまりにも痛過ぎて、何度、看護師を蹴飛ばしたかわからない。
今となっては、本当に申し訳なく思っている。
8回目の手術後、しばらくして、それでも治らなくて、9回目の手術が決定した時、
「もう無理」
「絶対に嫌だ」
「手術するくらいなら死ぬ」
そう言って、手術当日、手術衣のまま逃げ出した。
僕は、男子トイレの一番奥の個室に隠れて、手術時間が過ぎるまで、鍵をかけて閉じこもった。
そうして、9回目の手術がキャンセルされて、一時帰宅することになった。
帰宅してすぐ、近くの神社へ行って
「神様のバカやろー」
「なんで、こんなに僕をいじめるんだ」
「ふざけんなっ」
って叫んだ。
そうすると、神境の奥の方から
「ようやく言えたね」
「もう我慢しなくていい」
「大丈夫だ」
そんな声が聞こえた気がした。
それから不思議なことに、ちょっとずつ症状が落ち着いてきて、なんとか9回目の手術を回避することができたのだが。
その代わり、大きな病院で、全身の精密検査をすることになった。
そこで、クローン病が確定された!
これまで治らなかった原因が、全てクローン病由来だったことが判明し、ホッと安心した。
しかし、クローン病が「指定難病」、つまり、一生治らない病気だと知らされて、一気に地獄へ突き落とされた。
「もうアカン」
「生きていけへん」
「死のう」
頭が真っ白になって、医師の話もほとんど聞けず、また逃げ出した。しかも、全力で!
「入院なんて、まっぴらごめん!これから寝たきりの生活なんて、絶対に無理」
そう思って、勝手にタクシーで自宅に帰り、それから数日後、母に連れられて再び病院へ戻った。
それから、鼻からチューブを通して栄養摂取する絶食生活が、4年間も続くのだが。
いま振り返ると、
もしあの時、全力で逃げていなかったら、きっと、死んでいたと思う。
9回目、10回目の手術を受けて、もう立ち直れなかったと思うし、ズタボロの中で、難病だなんて宣告されたら、僕は、自分で自分をころしていたに違いない。
「逃げる」とは、
一般的に良くないことだと言われているが、
・もうアカン
・もう無理
・死んでしまう
そう思ったら、その場から、全力で逃げたらいいと思うし、絶対に、逃げなきゃいけないと思う。
あの頃の僕は、確かに、周りに迷惑をかけたし、いっぱい心配もかけて、本当に申し訳ないと思っているが、自殺して、周りに迷惑をかけるよりはマシだと思っている。
日本では、逃げずに耐えることが美徳で、我慢することが成長につながると教わるが、そんな名言、僕は大嫌いだ!!!
逃げてもいいし、我慢しなくてもいいし、周りに頼って、甘えて生きてもいい!
とにかく、耐えて、我慢して、自分をころして生きることは、最悪!
それこそが、地獄だ!
もし今、困難に耐え続け、我慢をして、もう無理だと思っている人がいたら、逃げてもいいよ。
全力で逃げてみよう!
そうすれば、きっと新たな道が見つかるよ。
あなたが頑張っていることを見ている人はいるし、必ず、あなたをわかってくれる人たちもいる。
とにかく、一旦、その場から離れて、落ち着いて、冷静になって、仲間を見つけて、一緒に考えよう!!!
大丈夫!
逃げても、ちゃんと次の道があるからね。
頑張り過ぎなくていいよ。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう!