京都・東京・オンライン
  1. お布施ブログ
  2. 穏便に済ませようとするほど、人は苦しくなる
 

穏便に済ませようとするほど、人は苦しくなる

2026/01/26

「できれば穏便に済ませたい」

そう思って、言いたいことを飲み込んだ経験は、

誰にでもあると思います。

 

  • 家族とのこと
  • 職場での違和感
  • 友人やパートナーとのすれ違い
  • 空気を悪くしたくない
  • 関係を壊したくない
  • 相手を傷つけたくない

 

そうやって、本音をしまい込む。


でも、

カウンセリングの現場で何度も見てきて、

はっきり言えることがあります。


本音を言わずに、

穏便に済ませるという選択は、

実は、かなり無理があります。


なぜなら、本音というのは、

どこかで必ず「誰かが傷つく」性質を持っているからです。


本音を言えば、相手が傷つくかもしれない。

本音を言わなければ、自分が傷つき続ける。


穏便に見える状態というのは、

たいていの場合、

 

どちらかが譲っているか、

どちらかが我慢しているか、

 

そのどちらかです。


以前、こんな相談がありました。


「夫は悪い人じゃないんです。

ただ、私の話をちゃんと聞いてくれない。

でも言うと、機嫌が悪くなるので……」


その方は、とても穏やかで、優しい人でした。

「まあ、私が我慢すればいいかな」

そうやって、何年もやり過ごしてきたそうです。


でも、ある日、些細なことで涙が止まらなくなった。


自分でも理由がわからない。

怒りでもなく、悲しみでもなく、

ただ、限界だった。


言わずにやり過ごすことは、

解決ではありません。

先送りです。


しかも、心はきちんと覚えています。

「私は、また後回しにされた」

「私は、また大事にされなかった」


それが積み重なると、

ある日、爆発します。

もしくは、静かに諦めます。


どちらも、かなりつらい。


じゃあ、どうすればいいのか。


答えは、とても地味です。


小出しで言う練習をすること。


いきなり本音を全部ぶつける必要はありません。

むしろ、それはおすすめしません。


「実はね」

「少しだけ聞いてほしいんだけど」

「前から気になってたことがあって」


そんな小さな言葉でいい。


たとえ相手の機嫌が一瞬悪くなったとしても、

言わなければならないときは、確かにあります。


その瞬間、

「空気を壊した自分が悪いのではないか」

そう思うかもしれません。


でも、空気を壊したのではなく、

見えない無理を、表に出しただけです。


もちろん、選択肢はもう一つあります。


一生言わない。

諦めて、やり過ごす。

期待しない。


それも、間違いではありません。

自分を守るための選択として、必要なこともあります。


ただ、その場合、

心のどこかで覚悟がいります。


「私は、ここを求めない」

「ここでは満たされない」


それを自分で引き受ける覚悟です。


どちらが正解、という話ではありません。


ただ、ひとつだけ確かなことがあります。


人は、言えたら癒えます。

話せたら、離せます。


そして、少し楽になります。


本音を言うことは、

相手を傷つけるためではありません。


自分を守るためであり、

関係を続けるための、

最後の誠実さでもあります。


もし今、

胸の奥に引っかかっている言葉があるなら、

今日でなくてもいい。


でも、

「いつか言う」という選択肢を、

自分から奪わないでください。


それだけで、

心は少し、呼吸しやすくなります。