私の名前は、神社と書いて「かんじゃ」と読む。
珍しい名字の私が、20歳のとき、本当に患者になった。
消化器官に炎症や潰瘍が起こる難病「クローン病」と診断され、半年間に8度の手術を受け、その後の4年間の絶食、約10年間の闘病生活を経て、克服した。
運よくすばらしい医師らに出会い、たくさんの協力者のおかげで奇跡を起こすことができた。この体験を本にしたり講演したりしている。
発症から18年が経過するが、一番嫌だったのは、お見舞いで「大丈夫?」と聞かれることだった。大丈夫じゃないから、ここにいる。もし大丈夫じゃないと答えたら、あなたに何ができるのか? 思いやりの優しい言葉だったとしても、病人には酷な問いかけだ。病気になった私は精神まで病み、ひねくれていたのかもしれない。でも、やっぱり、その一言は大嫌いだった。
お見舞いに来られた人は、何もしなくていい。ただ聞くのがいい。傍らにいて、肩をさすったり、手を握ったりするのもいいだろう。もし何かをしたいなら、患者だけでなく、看病している側のお手伝いをしたらいい。家族に一人でも病人が出ると家族みんなも病気になるようなものだ。みんなで元気になっていかないと良くはならない。
本当の思いやりとは、相手の立場にはなれないけれども、「分かりたい」「寄り添いたい」という謙虚な行動だと思う。私は「大丈夫?」より、ただ傍にいて、聞いてほしかった。
これは、2017年6月23日に毎日新聞の「患者の気持ち」に寄稿したものですが、当時、たくさんの共感を得て、先日の講演でもお話したところ、再び多くの共感を得たので、こちらでも紹介させていただきました。
僕たちは、何気なく「大丈夫?」と聞いてしまいがちですが、それは、大丈夫?と聞かれたら、大丈夫!と答える日本人の美徳?からきているのかもしれません。
しかし、そもそも「大丈夫?」と聞く時点で、すでに大丈夫ではない様子に気づいているのだから、もっと別の言葉がけを心がけた方がいいのかもしれません。
※例えば…
「いつもと様子が違うように見えるけど、何かあった?」
相手が具体的に答えられる質問を用意するとか…
「私でよければ、話を聴くよ」
「傍にいるよ」
相手の想いに同調して、相手が話しやすいようにもっていくとか…
「何かできることはある? 手伝おうか?」
相手がSOSを出しやすいように気を配るとか、寄りかかってもらえるようにするとか…
その時々の状況で、いろんな対応ができたらいいですよね。
今日から、あなたとあなたの大切な人が、社交辞令ではない「言葉がけ」と「心がけ」で、一歩進んだ寄り添い合い(愛)ができるといいなと思います。
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