「その人、悪い人じゃないんです。
むしろ、正しいことばかり言うし、理屈も合ってる。
……でも、どうしても無理なんです。」
カウンセリングの現場で、何度この言葉を聞いてきたかわかりません。

今日も、やっぱり人間関係の話題です。
というのも、カウンセリングの半分以上は、人間関係の悩みだから。
夫婦、親子、職場、友人、仲間、親族。
生きていく以上、人と関わらずに暮らすことはできません。
だからこそ、悩みも生まれる。
そして、特に多いのが、これ。
「良い人なのに、好きじゃない」
「正しいことを言われてるのに、ムカつく」
「嫌いってほどじゃない。でも、合わない」
この感覚、あなたにも覚えがありませんか?

ある日、こんな相談がありました。
相手は、とても真面目で、仕事もできて、誰からも信頼されている人。
アドバイスも的確で、言っていることは全部正論。
でも、その人と話すたびに、
胸の奥がギュッと苦しくなって、
家に帰ると、どっと疲れてしまう。
「私の心が狭いんでしょうか?」
そう言って、その方は自分を責めていました。
でも、僕はこう伝えました。
「合わないものは、合わないんです」と。
どんなに素敵で、立派で、正しい人でも、
合わない相手は、合わない!
これは、人格の問題ではありません。
相性の問題です!
たとえば、
どんなに栄養価が高くて、体に良い食材でも、
アレルギーの人が食べた瞬間、蕁麻疹(じんましん)が出ることがありますよね。
それと、同じ。
相手が悪いわけでもない。
自分が弱いわけでもない。
ただ、体質が合わないだけ。
だからまずやってほしいのは、
「合わない」と感じている自分を、ちゃんと認めること。
そして、相手を嫌いな自分を、責めないこと。
そのうえで、
それでも関係を壊さないように、
それでも大人として向き合おうとしている自分を、
ぜひ、ほめてあげてください。
本当は、離れられるなら、離れた方がいい。
それが一番、健全です!
でも、現実はそうもいかないことの方が多いですよね。
職場だったり、
家族だったり、
簡単に距離を切れない関係も、
たくさんあります。
そんな時のポイントは、
とてもシンプルです。
✔ 受け流す
✔ 聞き流す
✔ テキトーにする
そして、いちいち反応しない。
ここで大事なのは、
「合わせよう」としないこと。
「わかってもらおう」としないこと。
「わからせよう」としないこと。
そもそも、合わないのですから。
わかり合おうとすればするほど、
苦しくなるだけです。
だから、
「わかりました」
それだけ言って、
心の距離と、物理的な接触を、最優先で減らす。
冷たくなる必要はありません。
戦う必要もありません。
自分を守るために、距離を取る。
それは、逃げではなく、知恵です。

どんなに素敵で、正しくて、尊敬できる人でも、
合わないものは、合わない。
それを
認めて、
受け入れて、
ゆるして、
愛する。
そうすると、不思議なほど、
人間関係の流れは、確実に変わり始めます。
無理をやめた瞬間から、
人生は、ちゃんと、あなたに優しくなります。
今日も、よく頑張っていますよ。