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心が安らぐコラム

コロナ禍で、みんなが不安になっている時、カウンセラーという立場から、

「いまの僕にできる社会貢献はないか?」

と考えて、毎月、京都新聞へコラムを投稿することに決めました。


おかげさまで、2020年4月から定期的に、僕のコラムが京都新聞(朝刊)『窓』欄に取り上げられています。


こちらでは、その一部を紹介したいと思います。

2023年3月21日(火曜日)京都新聞・朝刊掲載

自分を認めて自分を応援  

4月から仕事や学校などの環境が変わるという人が多いかもしれません。


期待と不安が入り交じっているところに、日々いろんな事が起きますから、不安や心配は尽きません。僕の元にも、多くの相談が寄せられます。


そんな時、僕は実体験から、こうアドバイスをしています。


不安になるのは、それだけ一生懸命な証し。

いまここに失いたくないくらいの「幸せ」がある証拠。


心配になってしまうのは、自分も相手も信じたい証し。

未来を信じたい証拠。


だから、無理に不安をなくさなくていいと。


かつての僕は、不安を無くすために必死でしたが、いろんな経験を経て、この不安の中には「柔らかい感受性」があって、この感受性があるからこそ、安らぎや幸せを感じることができるんだと気づきました。


それ以来、無理に不安をなくそうとせず、まずは、不安になるくらい頑張っている自分を認めて、自分を応援することが大事だと思っています。

自分に愛を向けることができれば「きっとうまくいく」と信じています。


2022年12月30日(金曜日)京都新聞・朝刊掲載

ありのままの自分を愛する  

学生の頃、四つ葉のクローバーを見つけられなくて、見つけられない自分が駄目な人間に思えて、探すことを諦めました。

本当は見つけたいのに、見つけられない自分が恥ずかしくて、無難にやり過ごすことを覚えて、できない自分を見ない生き方になっていきました。


そんなある日。

ベンチで休憩していた時に、三つ葉のクローバーたちから、

「四つ葉だけが素晴らしいわけじゃない」

と語りかけられた気がしました。


そこで僕は、特別なものばかりを追い求めていたことを思い知りました。

同時に、自分が自分の本当の気持ちをごまかしたり、諦めたりしていたことがカッコ悪くて、恥ずかしかったことを思い知りました。


この年になって、ようやく駄目な自分やカッコ悪い自分、恥ずかしい自分をありのまま認められるようになりましたが、時間がかかりました。

いろんな体験のおかげで、自分に素直でいることや自分を信じて応援し続けることの大切さに気づけました。


できない自分やカッコ悪い自分をも応援できることが、自分を愛することだとわかりました。


2022年11月15日(火曜日)京都新聞・朝刊掲載

“幸せになるモノ”が大切  

ハロウィーンが終わり、そろそろクリスマスツリーを出そうと、クローゼットを漁っていた時のこと。

ツリーだけ出すつもりが、余計なものまで引っ張り出して、荷物の山になってしまいました。


この機会に断捨離をしようと「要るものと要らないもの」を見極めましたが、処分するモノの山を見てびっくり。

その量に驚いたのはもちろん、自分が幸せになるために買ってきたモノのつもりが、実は「幸せに見られる」ために買ってきたモノの方が多かったことに気づきました。


どうやら僕は、自分が「幸せになるモノ」よりも、他人からの目を気にしたり、まわりのブームに流されたり、誰かのお勧めで買ったり、とりあえず適当なモノを買ったりして、その場だけで満足して、そして飽きたら押し入れに入れるようになっていたんだと思い知りました。


もちろん、中には大切なモノもあり、ずっと大切にしているモノもあります。


でも、この現実を目の当たりにした時に、これからは、自分の心が震えるモノを厳選して、自分が最高にハッピーになれるものに囲まれて、幸せに過ごしたいなって思いました。


身の回りにあるモノは、いま、あなた自身を幸せにしてくれていますか。

2022年9月11日(日曜日)京都新聞・朝刊掲載

頑張りより自信と誇りを  

目標をもって、努力することや頑張ることはすてきなことです。

僕自身も努力して頑張って、色んな経験を得ることができましたし、そのおかげで、成長することもできました。


しかし、かつての僕は「満足したら終わり」「満足したら成長が止まる」という思い込みがあったため、いつもどこか気が抜けない、苦しい日々でした。

自分のできないところや、未熟なところを指摘して、自分を否定して「まだまだ」「もっともっとできる」そう言い聞かせて奮い立たせていたのですから、苦しくて当然ですよね。


そうして40歳を越えた頃から、こんな生き方を続けていては、自分がかわいそうだと思いましたし、逆に、満足しても成長できることを知って、その満足感や達成感こそが、次へのエネルギーに変わることを体感しました。


僕たちは、困難を乗り越えるために生まれてきたのではなく、幸せになるために生まれてきました。


だからこそ、時に努力や頑張りも必要ですが、頑張り過ぎの時には立ち止まり、自分で自分をねぎらって、ここまで来た自分に、自信と誇りを持つことが大切だと思います。


自分をありのまま認めて、許して、愛してこそ、確実に成長できるのだと思います。

2022年4月22日(金曜日)京都新聞・朝刊掲載

心配を信頼のエネルギーに  

僕は20歳の時に、クローン病という消化器官の重い病を患いました。

発症後、8度の手術と4年間の絶食生活を強いられ、あまりの苦しさに、生きる気力を失い、頑張る力を無くしてしまいました。


そんな時「私が頑張るから、あなたは大丈夫よ」と応援されたことがありました。


それまで、周りからは「頑張れ!頑張れ」と応援され続けて、うんざりしていましたが、彼女だけは違っていました。

「あなたはすでに十分頑張っているから、これ以上頑張らなくていい!私が祈ることを頑張るから大丈夫よ」。そう言って、全身全霊で祈り続けてくれました。


病気というのは、本人はもちろん、周りにとっても大きな試練になります。

大切な人ほど、何もできない自分にもどかしさを感じて、身を切られるような辛さや苦しさを感じます。


そんな時、彼女のように「祈る」ことができたら、もしかすると、祈る側も救わるのかもしれません。

心配するエネルギーを信頼するエネルギーに変えることができれば、きっとその祈りは通じますから。


おかげさまで、僕は元気です。
ありがとうございます。

2022年3月3日(木曜日)京都新聞・朝刊掲載

過去を未来への活力に  
先日、イギリスの教え子から「赤ちゃんが生まれました」とうれしい報告がありました。

僕が日本語教師をしていたのが16年前。
今でも、こうして慕ってくれていることに感謝します。

当時の写真を懐かしく見返し、帰国直前にくれた彼のメッセージを読んでいると「こんなにも雑で乱暴な文字を書く生徒だったのになぁ」と微笑ましく思い出しました。

当時、イギリスの生徒たちはいつも青色のボールペンを使い、消しゴムを使うことが一切なく、それは「消し去らないことが大切」「間違いをそのまま認めて、次に生かすことが大事」だと教わってきたからでした。

誰しも生きていれば、消し去りたいものの一つや二つあります。
キレイに消し去ることができたら、どんなにスッキリすることでしょう。
でも、起こった出来事をなかったことにはできません。

人は皆、失敗や間違いを犯しながら成長していきます。
その全てを消すのではなく、消し去りたい過去を未来へのエネルギーに変えて、今日一日を過ごせたらいいなと思います。

2021年5月15日(土曜日)京都新聞・朝刊掲載

強がりより つながる勇気  

骨がポキッと折れると、病院に行って、医師の指示に従い、治療し、安静にできるのに、心がポキッと折れても、病院に行くことは珍しく、安静にせず、ひとりで何とかしようとする人が多いです。


どうしてこんなにも差が出るのでしょうか。


それは、心が目に見えないから、その傷の深さに気付きにくく、勝手に治るものだと思い込み、自分で何とかしなければいけないと思っているからでしょう。


これまで3万件を超えるカウンセリングをしてきましたが、真面目で責任感の強い人ほど、まわりに頼ることや休むことに罪悪感を抱き、たった一言「助けて」と言うことが難しそうでした。


そんな人たちに、「『助けて』と言うのは『自分に対する勇気であり、相手に対する信頼ですよ』」と言い続けてきましたが、それでもやっぱり「助けて」と言えない人が多くいました。


「せめて大丈夫なフリはやめて下さい」「無理に笑うこともやめて下さい」とも伝えてきましたが、今はみんなが大変な時期ですから、それも難しそうです。


でもどうか、これだけは覚えておいてほしいです。


心が折れた時こそ、強がりを手放して、まわりとつながる時です。