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京都新聞に掲載されました!

2019/08/08
京都新聞に掲載されました!

2019年(令和元年)

8月5日(月曜日)

京都新聞朝刊(地域版)22面に自身の記事が掲載されました。

京都新聞社から許諾をいただいたので、下記に転載します。

 

今つらい方が、これを読んで、少しでも気持ちが楽になります様に…

すでに頑張っている人たちが、少しでも自分に優しくなれます様に…

祈っています。


『諦めないことの大切さ』

 大学3年の夏。アメリカ留学直後、手術が必要な「痔(じ)ろう」を発症しました。肛門の横には直径4㌢の穴が空けられ、気を失うくらい痛い治療が始まり、手術は8度にも及びました。1年かかってようやく完治したと思った時、今度は急激な腹痛と下痢に見舞われ、「クローン病」が判明しました。

 クローン病とは、口から腸、肛門にかけて全ての消化器官に潰瘍や糜爛(びらん)、炎症ができる原因不明の難病です。そこから、経腸栄養療法という、自ら鼻の穴に細いチューブを挿入し、点滴の要領で腸から成分栄養を摂取する生活が始まりました。

 何も食べられない生活は、私から生きる希望を奪い去り、何度も命を諦めようと思いました。迷惑を掛けてしか生きられないことに罪悪感を抱き、周りに心配や苦労を掛けてしか生きられないことに悩み、苦しみました。しかし、決して私の命は私を諦めることはなく、家族や仲間も私を諦めませんでした。そこから本を読むようになりました。

 数々の本から得た知恵はたくさんありました。中でも印象的だったのは「迷惑を掛けることが悪いのではなく悪いのはむしろ周りを信頼しないこと」だったり、「たった一言『助けて』と言えないこと」であったり、「周りが助けようとしているのに独りで頑張り続けること」でした。

 こうして、自身の内面からのアプローチを追究し始めました。今と同じことをやっていても自分が望む結果を得られないことに気付き、そこから海外へ赴くようになりました。病気のこともあり、周りは大反対でしたが、母だけが応援し続けてくれました。たった一人でも自分を信じて応援し続けてくれる人がいると、人は強くなれると思い知りました。

 1年間、日本語教師として過ごしたイギリスでは、自らの在り方を一変し、見方を変えました。心の持ち方を進化させる「心理学」を学び、その間にクローン病の症状は治まりました。帰国後には、京都の大学や地元のハローワークでカウンセラーとして働けるまでになりました。

 そんなころでした。2011年に起こった東日本大震を機に「どんな人も独りで頑張るのはよくない」「共に助け合うことが必要だ」と強く思うようになりました。

 被災者がつらければ、私もつらくて苦しい。かつて傍らで私を見守り、支え続けてくれた母や仲間も、きっとそうだったんだということを思い出させてくれました。あなたが苦しい時、そばにいる大切な人たちも同じように苦しいのです。そして、あなたの幸せを祈っているのです。

 そういうことを伝えたくて、実体験をつづった本を自費出版しました。これまで13冊を出版し、100回以上の講演、SNSによる千日を越す毎日のメッセージを通し、独りで頑張っている人たちを応援し続けています。

 「たとえ今、どんなに苦しくても、どうか目の前の苦しみにとらわれないでください!」

 諦めず、ほんの少し視野を広げて強がりを手放せば、世界はあなたが思う以上に優しく、思いやりにあふれています。どうかその奇跡を信じてみてください。